山神様にお願い


「俺だって休みなしで飯作ってたっつーの!」

「あううう~」

 俺達の横を通り過ぎながら、ツルが首をまわして言った。

「でも今日はほんと忙しかったよね。ああー・・・体が辛いわ」

「ほんとお疲れ様でしたー」

 シカはカウンターを拭きながらそういう。こんな時でもなんだかんだと働いているのはやっぱり女共だな。俺はウマの足を蹴るのをやめて、カウンターの椅子に腰掛けた。

 ・・・・・・ああ、だりー。

 これだったらリングで3試合したほうがマシって疲労度だ。まあ勿論、ボクシングの試合のあとは全身の痛みもオマケでついてくるわけだけど。

「よし、オッケー。これで今年も終わりだな」

 最後の金額チェックを終わらせたトラがそう宣言して、皆でほっと息をついた。これでお金があわないとかになったらまた長くなる。それがないってだけでも嬉しいぜ。

「よし飲もう飲もう!動きすぎて暑いからキンキンのビールがいいな~」

 虎がそういうのに、ツルがはいはいと返事をして取りにいく。

「ウマはいらねーのかー?寝転がってるヤツに出さねーぞ」

「要ります要ります!」

 虎にそう脅されて飛び起きたウマにケラケラとシカが笑っている。ツルと一緒に飲む準備をして、全員カウンターに座った。


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