山神様にお願い
「あ・・・お嬢さん、何でここに・・・」
は?お嬢さん?そんな疑問が浮かんだのは俺だけじゃないはずだ。きっとその声が聞こえた場所にいる、全員がそう思っただろう。
だって────────普通の、女子高生だぜ。それも、俺らの学校の生徒にしちゃまともな格好の。つまりバカじゃなさそうな。
彼女はキッとヤクザを見上げて厳しい声色で言った。
「ここは公園なのよ、散歩にきて悪いわけないでしょ!それよりもあなたたちが迷惑なのよ!こんなところで暴れて市民に迷惑かけないでちょうだい!組を落としたいわけ?」
「あの、いや、そんな・・・こいつが喧嘩売ってきやがったんで」
「受けてどうするのよ!」
ヤクザものがへこへこになってしまった。へええ~・・・あの子、組のお嬢さんってことは、組長の娘か!俺はちょっと興味をもって、ベンチから立ち上がる。面白い。滅多に見れないぞ、こんなの。
彼女は喧嘩相手のチンピラに向き直り、厳しい声色のままで言った。
「そちらもです。喧嘩をするのであれば場所を移動してください。ここでは迷惑です」
当然、相手の方はカチンときたようだった。元々熱くなっているところに、いきなり現れた若い女の子に苦情を言われたのだ。顔をひんまげて、彼女に向き直る。
「んだよねーちゃん!ひっこんでろ小娘が!」
「ああ!?お前今お嬢さんになんて言いやがった!?」
すぐにまたヤクザものが反応して、場の雰囲気は悪化する。その時、チンピラの目が素早く動いて、彼女の連れている犬を見た。