山神様にお願い


 店が潰れるなあ!とコメントする夕波店長に龍さんがうんうんと相槌を打つ。困った困った、とふざける二人にウマ君が乱入した。 

「虎さん龍さん、俺は二人みたいに苛めませんよ!」

 ちっち、と指を左右に振って、店長が真面目な顔で言う。

「いや、ウマはまだ知らないだけだ。シカの反応を見ていたら、おちょくりたくなること請け合いだぞ」

 隣で龍さんが大きく頷いた。

「そうそう、楽しすぎるんだよ、こいつの反応」

「マジですか?!それは見てみたいかも・・・」

「そうだろ、それが普通だ!」

「となると、やっぱり誰も残らないな」

「残らないねえ」

「おう」

「あらー」

 私はがっくりと肩を落とした。・・・・お母さん、私頑張って生き抜くね、って、心の中で呟いて。


 ウマ君は、気のいい男の子だった。

 私が就活を終えたと知っていたので、早くその話をしたいと思ってたんです!と、その日のバイトが終ったあとは、仕事終わりの一杯を飲みながらの質問攻めだった。

 ・・・ここの人たちは、何かと質問攻めが好きらしい。



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