山神様にお願い
・・えーっと・・・・どうしてこのタイミングなの。太陽の眩しさに思わず見開いていた目を閉じる。
すっごく久しぶりに会った彼氏、と、危険人物の阪上君。・・・わお。
「センセー、この人、噂の彼氏?」
そう言いながら、阪上君が私に近寄ってきた。私は反射的に飛びのいて彼から距離を取る。それに傷付いた顔をした坂上君に言った。
「そうよ。悪いけど、阪上君、また勉強の日にね」
私の言葉で小泉君も、この男の子が問題の生徒だと気付いたらしい。彼には色々と家庭教師のバイトの話はしていた。
そいつ、危ないな。親御さんはちゃんと見てくれてるのか?そう言って小泉君は心配してくれていたのだ。他にアルバイト探したら?って。
男同士が無表情で視線をぶつけ合っている。どうしよう、何故こんな雰囲気に?ええと、私はとりあえず小泉君と――――――――――
「へえ、あんたが未だに就活をしてる彼氏?」
先に阪上君が口を開いた。そのあざけるような声音に私はハッと振り返る。ちょっと、何言い出すのよこの子は!
「阪上君!」
私の声はあっさりと無視される。阪上君は完全に体を小泉君の方げ向けて、じろじろと彼の全身を眺め回した。
小泉君は無表情のままで、その視線を見返している。
「ふーん、センセーが惚れるんだからどんな男かと思ってたら、何か、大して魅力的じゃないじゃん、あんた」
「・・・高校生には判らない世界なんだよ」