山神様にお願い


 店長はワークキャップにサングラス、海パンと白いシャツで、これも外見だけでは何の職業かが全然判らない男性になってるし、助手席に座るツルさんは赤いグラデーションの綺麗なビキニの上に緑のパーカー。すらりとしたスタイルのよさは「山神」のシンプルな制服でも確認できていたけど、水着になると凄いな!という羨ましいカーヴィーボディだった。

 胸が、ぷるんぷるんいってそう~・・・・。どうしてスレンダーなのに胸があるのだ!正直に言おう、憧れ、なんてレベルでなくて、ものすっごく羨ましかった。

 最近また痩せた自分の胸を見下ろして、こっそりとため息をつく。

 ウマ君は海パンとTシャツ姿。でも頭にタオルをまいていて、今からバーベキューで肉を焼きそうな雰囲気。大学生だけあって、彼が一番嬉しそうに興奮して喋りまくっていた。

 小学生レベルの会話で言い合いをする獣達をみていて、一番後ろの座席で私は微笑む。

 何て楽しい人たちだろうかって。

 やはり平日で、まだ学生も夏休みに入ったばかりとあって、海岸は空いていた。

 車を出た瞬間から獣達は雄たけびをあげて海に突進し(特に、虎とか龍とかが!)、私はツルさんと車から荷物を降ろす。

「何で男女混合、しかも年上が二人もいて女性が荷物運んでるのよ~」

 ツルさんがぶつぶつと苦情を垂れていた。

 私は笑いながら荷物を抱えてあとに続く。裏方は好きだ。弾けたい人は弾けたらいい、そう思っていた。

「そういえば、龍さんていい体してますよね~。あれで本当に料理人なんですかね」


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