世界征服狂走論




 空は快晴。
 ここに通いはじめてからさんざん見てきた、青空だ。これもいつまでも変わらない。


「チカちゃん」


 だからね。あたしはこれをね、守っていきたいと思うんだ。
 あたしがやるしかないんだよ。




「やっぱしようよ、世界征服」


「まだ言うか…」

「卒業記念に、軽く、さ。」




 やっちゃおうよ。最後じゃん。



 黙ったチカは、黙ったまま、飲みおわった牛乳パックを、片手でぐしゃり、つぶした。ああまただ、ちゃんとたたまなきゃ。って、いつも言ってるのに。


「かしてみぃ」


 その手から紙パックをとりあげて、ふくらませて、ちゃんと折りたたんであげる。…あ、ほら。“たたんでくれてありがとう”の文字。ちゃんとたたんだ人しか見れないんだよ。

 
 チカががさつにつぶした牛乳パックをちゃんとたたみ直して、この文字を見つけるの、すき。
 どういたしまして。



「……覚えてられっかな」








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