我が家の家庭事情


そうだ。元はといえば悠斗のせいで余計な悩みが増えたんだ。


何も無い男女の仲がいつまでも続くなんてありえないとか。

私が何も思ってなくても竜は違う、とか。



そもそも、あんな言い方したら、まるで竜が私が好きみたいじゃないか。

そんなこと、ありえない。


竜が、私を好きとか…………。


『舞華』



不意に浮かんだ、真剣な顔をした竜の姿。

色素の薄い瞳が、真っ直ぐにこっちを見つめている。

伸びた手は、多分 私の手を掴もうとしていて…………。




「ああああ」

顔を押さえながら勢いよく俯いた。
いきなりのことに千尋が「どないした!」と慌てているのが聞こえたが、ごめんちょっと待って。

悠斗じゃないけど、私も若干 桃色脳に染まってないか。
こんなこと考えるなんて、らしくない。


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