我が家の家庭事情
「…………別に、ボーッとしてただけ」
「へぇ、珍しいね」
ドキッとした。私って普段そんなにキリッとしてるんだろうか。
変化がわからない。
「…………」
「…………」
何となく無言になって、お互い使われたビーカーなどを棚に戻していく。
カチャカチャと、ガラスのなる音。
「……松島ってさぁ、鈍感だよね」
「……はい?」
そんな中、唐突に、そんなことを言い出した秀人。
意味不明すぎて反応が遅れた。
…………鈍感?私が?
「どこが」
「いや、もう全部?」
「ぶん殴るよ」
ちょっと、いやだいぶムカッとした。
竜が普段 秀人をウザイ殴りたいって言ってる気持ちがわかった。
何かうまいこと、相手の癇癪に障る言い方を心得ているというか。
正直、お前が私の何を知ってるんだとぶん殴ってやりたい。
「おっかないなー。俺は松島に教えてあげただけなんだけどー」
「大きなお世話。つか鈍感じゃないし」
「ほら。そういうとこが鈍感」
「何が言いたいの?」