我が家の家庭事情



「…………別に、ボーッとしてただけ」

「へぇ、珍しいね」


ドキッとした。私って普段そんなにキリッとしてるんだろうか。
変化がわからない。


「…………」

「…………」


何となく無言になって、お互い使われたビーカーなどを棚に戻していく。

カチャカチャと、ガラスのなる音。




「……松島ってさぁ、鈍感だよね」

「……はい?」



そんな中、唐突に、そんなことを言い出した秀人。

意味不明すぎて反応が遅れた。


…………鈍感?私が?



「どこが」

「いや、もう全部?」

「ぶん殴るよ」



ちょっと、いやだいぶムカッとした。


竜が普段 秀人をウザイ殴りたいって言ってる気持ちがわかった。


何かうまいこと、相手の癇癪に障る言い方を心得ているというか。


正直、お前が私の何を知ってるんだとぶん殴ってやりたい。


「おっかないなー。俺は松島に教えてあげただけなんだけどー」

「大きなお世話。つか鈍感じゃないし」

「ほら。そういうとこが鈍感」

「何が言いたいの?」


< 106 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop