我が家の家庭事情
「秀人と千尋と、竜と。3人は、小学校から同じで、仲も良い。
私のいなかった8年間、3人は3人でずっと一緒で、3人だけの思い出がある」
「…………」
「………3人とも仲良いなって思いながら、私はそこには入れないなって、漠然と思ってたんだ」
「…………何でそうなるかなぁ」
秀人は苦笑しながら、困ったように私を見た。
「俺ら、松島と今までの分、仲良くなろうと必死だったんだけど」
「そうだね。失礼なこと言ってると思う。でも、多分ずっと思ってた。
昔みたいに元通り、って訳にはいかないなって」
竜は何も変わってないって悠斗は言ったけど。
やっぱり、何も変わってなくなんかない。
背は伸びたし、大人っぽくなって、カッコよくなった。
私の知る8年前とは全然違う。
それは、秀人にも千尋にも言えること。
「それに、こないだ言われたんだよね。
〝何もない男女間の中が続くなんてありえない〟って。悠斗に」
「…………」
「私、竜や秀人とは、何もないから。
高校卒業したりしたら忙しさにかまけて、二人とも、千尋とも、繋がりがなくなりそうで。
それで、会わなくなったら、みんな、私のこと忘れてしまうんじゃないかと思った」
それがすごく、怖い。