我が家の家庭事情



無言が続く。

窓の外を見ながら言っていたから、いざ言い切ってみたら、反応が怖くて秀人を見れなかった。


やばい、どうしよう。


秀人何も言わないし。やっぱり気分良くないだろうな。

3人は、私のために遊びに行ったりしてくれてたのに。

それを全部、台無しにするようなこと、言った。


『俺ら、松島と今までの分、仲良くなろうと必死だったんだけど』


…………そんなの、私だってそうだ。

私だって、みんなと仲良くなりたい。

でも、このもやもやする気持ちがなくならないと、どうしたって意味がない。

そんな気がするんだよ。



「……そっか」


ふいに秀人がぽつりと呟いた。

ちょっとだけびくりと肩を揺らして、私は怖々と秀人を振り返った。

そこで目を見張る。

振り返った秀人は、笑っていた。



「秀人?」


「やだな、松島ったら。そんなことで悩んでたのか」


「そんなこと?」


「まだ気付いてないのかよ。本当に鈍感だね」



あれ、もしかして今 けなされてるのか?



「俺らのこと嫌いだとか、そういうことかと身構えてたけど。全然違ったね。
松島、子どもみたい」


「はい?」


いきなり何だ。

今までの話の流れで何故そうなる。



「さっきから、ずっと拗ねたみたいな顔してる。言ってることも、難しく言ってるけど、つまりは寂しかったんでしょ?」


「寂しい?」


「そう。寂しい」


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