我が家の家庭事情



寂しい…………寂しい?

高校生にもなって、寂しい?


私は窓ガラスを見る。

そこには、いつもと変わらない無表情の私が、同じように見返してくるだけだった。



「俺らが3人の中には、自分は入れないなって思ってたんでしょ?
じゃあ、何でそう思ったの?」


「…………それは……仲良いから」


「それだけじゃないでしょ?言ったじゃんさっき。松島の知らない8年があるからって。
つまりそういうことだよ。松島は、自分の知らない8年があることが、心細いんだ」


「…………」


「変わらず不器用だね。知らないなら、聞けばいいのに。何を遠慮してるんだか」


「…………聞けないだろ」


「は?」


秀人の言葉にひとつ、反論する。

違うよ。聞かなかったんじゃない。



「聞けないよ。怖いんだ。誰かの過去に触れること。
…………私も、今までどこにいたとか、何をしてたとか。聞かれたら、困るんだ。………いい事ばかりじゃなかったから」


不用意に相手に踏み入ることは、私は好きじゃない。

私も、ヘタに足を踏み入れられたら、困るからだ。


「……ふぅん。なら、いいけど」


秀人は、それ以上触れようとしなかった。

なるほど察しがいい。

今ひとつ、分かったことがある。


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