我が家の家庭事情
「うーん。でもマジで久しぶりー」
サンドイッチを頬張りながら、モゴモゴと喋る秀人。
「ああ、そうだな」
その言葉を最後に、会話が途切れる。
春特有の爽やかな風が、ふたりの髪を揺らした。
「………で?」
舞華は卵焼きをつまみながら、視線を向けることなく問いかけた。
「え?」
「こんな挨拶をしに来た訳じゃないんだろう?」
「……………」
秀人は眉間を寄せて困ったように空を見た。
「……、うん。そーなんだよな」
はぁぁー……と深いため息をついた秀人は、ポツリと呟いた。
「あのさ、本当に竜のこと覚えてないの?」
……全く。
「お人好しなところも変わってないんだな」
「え?」
「いや、何も」