我が家の家庭事情
ガチャッ
屋上に続く扉を開くと、ふわりと風が吹いてきた。
屋上に出るのは初めてだ。
……てか、屋上って立ち入り禁止じゃなかったっけ。
「あらー?居ーへんなぁ」
「?誰が?」
俺の問いには答えず、千尋はスマホを再び取りだし、弄りだした。
「おい。ちひ……」
「千尋ー、こっちー!」
千尋にいいかげん訳を聞こうと思い、呼び掛けたがその声は違う誰かに遮られた。
「……秀人?」
声の方を見ると、給水塔の陰に腰かけている秀人がいた。