我が家の家庭事情
座ったぶん、さっきより近づいた距離。
柄にもなく緊張している自分がいる。
「………」
俺たちの間は、1メートルくらいの間があった。
時々吹く風に、隣からふわりと風にのって届く香り。
石鹸の匂い………いい匂いだな。
クラスの女子みたいにくっせー香水の匂いじゃない。
爽やかな、柔らかい香り。
あー、こういうさりげない香り好きかも。
……………って。
「俺、変態みたい……」
「え?」
ハッとする。無意識に口から漏れていたらしい。
「いや、気にすんな。何でもない」
「そう」