我が家の家庭事情
松島雄大、小学四年生。
年のわりに大人びた、しっかり者の年の離れた弟だ。
私より色素の薄い、いっそミルクティーみたいな色のサラサラの髪が、あちこちはねている。
「どうしたの?早いな、今日は。日直かなんか?」
「違う。悠兄のベッドから落ちた音で目が覚めたんだ」
雄大は、それはそれは不機嫌そうな顔で頭を掻いた。
………やはり奴は不肖な息子だらしい。
さく付きの二段ベッドだぞ?どうやって寝たら落ちるんだ。てか何で起きてないんだ。
「それは災難だったね。私が後で一発ヤキ入れといてやる」
「蹴飛ばしてきたからもういいよ。報復はした」
「そうか」
雄大は常に控えめな子だが、やる時はやるらしい。
兄に対しても容赦がない。