我が家の家庭事情
「味噌汁温めて、茶碗と箸とコップ持ってこい。早く飯食わないと遅刻するぞ」
「……え、何。俺のぶん用意してないの?」
「いつ起きてくるかも分からないのに用意なんか出来るか。冷めたら二度手間だろうが」
「……どいつもこいつも冷てぇなー」
んだよちくしょー、とブツブツ文句を言いながら台所へと消えていく悠斗。
やがて味噌汁をよそって茶碗と箸とコップを持ち戻ってきた悠斗は、椅子に腰掛けながら尋ねてきた。
「なぁ。何かさ、起き抜けからやけに体が痛いんだけど」
不思議そうな悠斗に雄大が味噌汁をすすりながら答える。
「ベッドから落ちたからじゃない」
「いや、腰だけ集中して痛いんだよ。何故か」
「たまたまだよ」
「しかも掛けた覚えのない目覚ましが4つもあったんだけど」
その問いに答えたのは智華だ。
平然とだし巻きを食べながら告げる。
「寝ぼけて忘れてるんじゃないの」
「いくら寝ぼけてたって掛けた目覚まし部屋の四隅に置くか?」
「じゃあ目覚ましが歩いていったんだよ」
「どう考えても嫌がらせだろーがよ。お前らの」