我が家の家庭事情
AM7:00。
この頃になると、家が慌ただしくなる。
「うわぁぁーん!!舞姉ーっ!」
着替えた梨華が櫛を手に持ちながら泣きべそをかいている。
「はいはい。また直らないんだ」
「もうヤダーッ!この頑固天パーっ!」
うわぁぁ、と朝から大声で喚く梨華。
相変わらずだが少し静かにしてくれ。近所迷惑だし頭が痛い。
毎朝毎朝、梨華の爆発した頭をセットするのは私の仕事だ。
頑固で強力な天然パーマの梨華は、毎朝頭に鳥の巣を作ってくる。
それを防ぐ為に毎晩髪は乾かせと忠告しているのだが、大丈夫だよ~、とのんきに言いながら寝てしまう。
そのせいで毎朝泣きべそをかいているのに、いっこうに乾かそうとしない。
さすがに私の手を煩わしている事に思うところがあるのか、
いつも自分も挑戦してみるのだが、結局直せず私に泣きついてくるのが常だ。
栗色の鳥の巣を水で濡らし、丁寧にブローする。
落ち着いて普段通りになってきた髪を解いて、右耳の前で前髪を彼女お気に入りのピンクのバラの髪飾りで留めてやる。
「はい出来上がり。他の用意しておいで」
「わぁい、さすが舞姉!ありがとー!」
ピンに触りながらご機嫌そうに笑う梨華に、
調子のいい奴め、と苦笑した。