我が家の家庭事情



「ちょっと遅いんだけど」


ランドセルを背負い、既に準備万端な智華が苛々したように言う。


「もう30分だよ?40分に集合なのに梨華
間に合わないじゃん」


智華はちらりと横目に、教科書をランドセルに積めている梨華を見た。


「間に合うよー。もう用意終わったし」

「カバンの用意が、でしょ。それですぐ出られるの?どうせ無理なんでしょ」

「あとトイレ!」

「もう早くして!」


トイレに駆け込む梨華に深い深いため息を付きながら、智華は項垂れた。


「ごめん遅くなった(悠兄のせいで)。梨華は?」

「あそこ」

「またか」


半眼でトイレを指差す智華に、察したように雄大が呟く。


「もう。何であんなに能天気なの」

「悠兄と同じ血が流れてるからじゃない」

「わたしたちも流れてるじゃん」

「舞姉の血が濃いんだよ」

「………そっか」

「私と悠斗はお前らの親か?」


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