我が家の家庭事情


何で私と奴が前提で出てくるのか。


「言っとくが、悠斗はそんなに能天気じゃないぞ。頭のネジがぶっ飛んでるだけだ」

「それフォローしてんの?」


いつの間にか聞き付けたのか、歯磨きをしながら口出ししてくる。

それをスルーして続ける。


「梨華の能天気な性格は父さんと母さんの遺伝だよ。私とお前らが突然変異でこんな性格になっただけ」

「じゃあ悠兄は誰の遺伝なの?」

「さぁな。自己流じゃないのか」


チラリと横目に悠斗を見やる。
奴は無言のまま、歯を磨いていた。


「お父さんとお母さんも、あんな性格だったんだ」


しみじみと呟く智華。

両親が亡くなったとき、まだこの三つ子たちは2歳だった。

両親の温もりをあまり覚えていないのだ。


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