我が家の家庭事情
「行ってきまーすっ」
ランドセルを背負い、明るく飛び出していく三つ子を見送って、玄関を上がる。
「悠斗、お前まだ着替えてないのか?遅刻するぞ」
洗濯物を籠に入れながら、背後で身支度を整えている悠斗に言う。
「着替えなんか10秒も掛からないって。舞姉こそさっさと洗濯物干してきなよ」
悠斗は何かいそいそと手を動かしながら嫌みったらしく呟いた。
私は鏡越しに奴をギロリと睨むと、
「色気付いてる暇があるなら他に気を遣え」
「無理だね」
即答だった。相も変わらず可愛くない弟だ。
「ったく……。どいつもこいつも呑気だな……」
「あれ、俺は頭のネジがぶっ飛んでるんじゃなかったっけ?」
「呑気と能天気は違うだろ」
「同じだよ」