我が家の家庭事情
「さぁーて、ケーキバイキング行こう!」
「げっ。ケーキバイキングかよ、女の行くとこじゃねぇか。恥ずかしい…………」
「嫌なら来んくてええんよ?うちと舞華と竜君で行ってくるし」
「バッ…………仲間はずれかよ!」
前でギャーギャー騒ぐ二人をよそに、後ろで私と竜は静かだ。
「バイキングだって。舞華甘いの嫌いじゃなかったっけ」
「別に……嫌いな訳じゃない。好んでは食べないけど」
「そっか」
相変わらず、優しげに目を細める竜。
昔と変わらずヘタレの竜だが、歳を重ねたことによって、見た目だけは男前に育ったと思う。
普段は愛想がなく無口で目付きも切れ長なこともあり悪いけど、ひとたび笑うと、表情が柔らかく崩れて、とても可愛らしい。
性格も、割と口が悪いがヘタレなので取っ付きにくくない。
そんなアンバランスさが魅惑的。とのこと。
…………全部 千尋の聞きかじりだ。