我が家の家庭事情
「…………ぅえ。吐きそ…………」
「千尋たちと一緒にしたら駄目だよ。
あの子ら甘党なんだから」
「いけそうだと思ったんだよ…………」
日も暮れ始めた6時。
夕日にオレンジ色に照らされた竜の顔は、心なしか青い。
口と腹を押さえながら、猫背で歩く彼の背中をさすりながら、私は苦笑いする。
「竜は秀人の挑発に引っ掛かりすぎ。
竜のムキになった反応が面白くてやってるんだから、たまには冷静に対応してみなよ」
「だってアイツ、微妙な具合で俺の事 煽ってくんだもんよ。
面白がってんのか何なのか知んねーけど、性格悪すぎだろー」
「人が悪いだけだよ」
「同じだろ」
秀人の飄々とした笑い顔を思い出して、ふっと声を漏らす。
その声にこっちを見た竜が、きょとんと私を見たあと、同じように喉を鳴らして笑った。