我が家の家庭事情





「…………ぅえ。吐きそ…………」

「千尋たちと一緒にしたら駄目だよ。
あの子ら甘党なんだから」

「いけそうだと思ったんだよ…………」



日も暮れ始めた6時。

夕日にオレンジ色に照らされた竜の顔は、心なしか青い。

口と腹を押さえながら、猫背で歩く彼の背中をさすりながら、私は苦笑いする。



「竜は秀人の挑発に引っ掛かりすぎ。
竜のムキになった反応が面白くてやってるんだから、たまには冷静に対応してみなよ」

「だってアイツ、微妙な具合で俺の事 煽ってくんだもんよ。
面白がってんのか何なのか知んねーけど、性格悪すぎだろー」

「人が悪いだけだよ」

「同じだろ」


秀人の飄々とした笑い顔を思い出して、ふっと声を漏らす。

その声にこっちを見た竜が、きょとんと私を見たあと、同じように喉を鳴らして笑った。




< 89 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop