我が家の家庭事情
くすくすと、静かな路地に声が響く。
竜といる時の、この静かで穏やかな瞬間が、私は結構好きだ。
「秀人も凄かったけど、千尋は桁が違ったよねぇ。何個食べてたっけ」
「43個だろ。女の腹じゃねぇよな」
「だって千尋だもん」
「確かに」
顔を見合わせて笑うと、ふと、竜の顔が無表情に戻った。
いや、無表情というか。
最近二人になると、よく見られる真剣な顔。
切れ長の瞳が、じっと私を見つめる。
ドキリ、とした。
竜のこの目は、少し苦手だ。