我が家の家庭事情



「…………そうだね」


心の中で〝分かってる〟と思いながら呟いた。

変わったのは竜達だけじゃない。

私だって変わったんだ。


…………いや、むしろ、竜じゃなくて変わったのは私だけかもしれない。


「なに気にしてんのか知らないけどさぁ」


また考え出してしまう私に、悠斗は面倒くさそうに髪をかき混ぜる。

これが悠斗が困った時にする癖であると私は知っている。



「あの三人組しか知らない8年はあるんだろうけど、
舞姉しか知らない竜兄の幼少期とかあるだからさぁ。別にそれでいんじゃないの」


何がいいのか、イマイチ分からない。

というより、悠斗の言い方じゃ、私が千尋達に嫉妬しているみたいじゃない。


(…………そういうんじゃ、ないんだけどな)

悠斗の解釈の仕方に少しだけ笑ったものの、
口下手な悠斗なりに私を励ましてくれたんだな、と。

少しだけ、温かい気持ちになった。

< 96 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop