花のように
押し寄せる後悔に視界が歪む。私は顔を伏せた。
ちゃんと愛してあげられなかったな、私。
彼にそうできなかった分、いつの日か私も、慈しめる相手に出逢えるだろうか……
顔をあげると、もう彼はいなかった。
ガーベラのブーケは売れていた。
まだ、彼も傷ついているのかもしれない。
私を傷つけたことに。
彼を失って、こんなに時間が経って、ようやく私は幼かった自分に気がついた。
『それでも、また、誰かを愛したい』
前を向いて、私は週末の雑踏の中に歩き出した。
fin