花のように


 私も姉のような気持ちで彼女に接していた。

 稜のような素晴らしい人と結ばれる幸運な私のように、彼女にも幸せになってもらいたい。そういう気持ちで、 結婚式でブーケトスはせず、彼女に直接ブーケをプレゼントした。


 でもそれは、私の驕りだったのかもしれない。


「……ありがとうございます」

 柔らかな声でそう答えてくれた彼女に、嬉しくて目を合わせようとしたとき、私は気がついてしまった。


 ほんの一瞬、稜に送った切なげな視線。目を合わせてもらえなかったことへの落胆。


 滲み出た悲しみが、彼女の澄んだ瞳を覆っていた。


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