記憶喪失Girlと浮気性Boy
中学三年の夏、私は悠真に恋をした。
夏祭り、私の手をとって無邪気に笑う君に恋をした。
こっそり2人で抜け出して、小さな丘でみた、打ち上げ花火。
ふいに、君がこっちを向いて。
「なぁ、好きなんだ。俺と付き合ってくれませんか。」
突然の告白に固まる私に、そっと屈んでキスをした君のいたずらっ子なその笑顔を、私はきっと忘れられない。
子どもっぽい悠真も、真剣な悠真も、全部全部好きだった。
「悠華!」
そう言って楽しそうに笑う悠真が。
「悠真がわかんない!」
「俺だって、悠華がわかんねぇよ!」
そういってケンカした時の怒った顔が。
「ごめんな。」
「私こそ、ごめん。」
そういって切ない顔も。
全部好きで愛おしくて、たまらなかった。