失望巡りて世界は廻る
迷蓮(めいれん)



目を開ければそこは霧の世界で。


まだ少しぼんやりする頭で、唯一わかるそのことだけは。



「……やっぱり、君が僕を世界につれ出したんだね、【迷蓮】(めいれん)」

「………。」



目の前に佇む小柄なその子供に。
されど妖しく沈黙なる子供に。



「あのね、僕、ぜんぜん思い出せないんだよ。君のせいで。なにもかも」

「………。」



びくりと震える迷蓮の体。

しかしその容姿ではふざけているとしか思えない。

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