恋する本 短編 下


「その本読んでみたい。今度貸してくれない?」


友達でも分かってくれなかった
この本の面白さ
よりによって一番分かってくれなそうな人が読んでみたいなんて嘘だと思った
でも分かち合いたい気持ちは
消えてなくて…


「はい、じゃあ今度」


私はうまく声が出せなかったけど
聞こえたよね?
そのまま逃げてしまった


走りながら多分顔は笑ってた気がする

本当に読んでくれるのかな?
嘘かもしれないけど
喜びが抑えきれなくて
嬉しくて嬉しくてはしゃいだ


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