最後の愛コトバ。
ドサッッッ!!!
ダンボールの落ちる音と同時に、バイクが通り過ぎる音が耳をかすめて行った。
「……??あ、あれ…?」
予想していた痛みとはうらはらに、柔らかい人肌の感触に彼女は目をゆっくりと開けると…
「…っぶないなぁ。」
少し見上げるくらいのところに、少年のような端正な顔立ちがそこにはあった。
その人に抱えられるように抱きかかえられた彼女は、何が起きたかを理解するのにそう時間はかからなかった。
「大丈夫?」
かかえられたまま2人の視線がぶつかり、ほんの数秒間の出来事だが、2人はまるで時が止まったかのように互いに瞬きが止まった。
…ように見えたのは、気のせいだったかもしれないし、そうでなかったかもしれない。
「ごっ…ごめんなさい!」
そういうと慌ててその人のから体を離した彼女は、ちらばったダンボールに視線をやる。
ダンボールの端を持とうとしたが、パンパンに詰めたダンボールは落ちた衝撃で破裂していた。
バラバラバラ…
そんな音はしていないが折りたたんだダンボール達が道路に散らばった。
『あ……』
2人同時に目が点になった。と、同時に…
「ぷっ…」
彼女の前で見ていたその人は吹き出した。