俺ら参上ッッ!!
*第一回目*
俺ら参上ッッ!!
*ひかりside*
「お前のことは」
あ…
「ひかりのことは…」
まただ…
「「俺(オレ)達が守るから」」
――ピピピ
「んー…」
朝7時の目覚まし時計が鳴った。
まだ寝てたいー…
「んー…すー…」
またあの夢を見た。
最近毎日見る夢。
顔も見えない二人から、私は言われてる…
不思議な感覚。
「…り、ひかり!」
「ほえっ!?」
バッと起きたら、ドアを開けて立っている兄がいた。
「おいひかり、何時だと思ってんだまったく」
次男の雅哉(まさや)に起こされて時計を見たら…
「は、8時前!?」
「バカだな、ほんと」
雅哉は呆れたようにため息をついた。
私の寝坊癖はいつものこと。
「い、急がないと!」
「さっきから言ってんだろー??
龍進(りゅうしん)が飯の支度済ませてっから早く来いよ?」
龍進は三男。
いつもおいしい料理を作ってくれる兄の1人。
「わ、わかった!」
雅哉は頭をかきながら欠伸して出て行った。
雅哉はいつも朝帰り。
まぁ…女グセ悪いから仕方ないよね
「って、そんなこと考えてる暇じゃなかったぁああ!!」
私は急いで支度して1階のリビングに向かった。
-リビング-
「遅いぞひかり」
「ゴメン秋斗(あきと)!!」
秋斗は長男。
今年で28で、家計を支えてる真面目で堅物な兄。
「いつもひかりは…
寝坊癖、直せよ?」
「はーい」
私は欠伸しながら椅子に座った。
「ほいよ、ひかり!
今日はひかりの好きなしじみの味噌汁!」
「わぁ!龍進さっすが!!」
私は急いで味噌汁を飲んで、玄関へ走った。
「気をつけろよ?」
「ふぁ…いってらー」
「いってらっしゃい!!」
「いってきまーす」
いってらっしゃいをみんなに言うのが私の日課。
兄3人と私で毎日暮らす。
お母さんとお父さんはいない。
そして私はいつも通り、同じ道を憂鬱な気持ちになりながら歩く。
「はぁ…」
毎日ため息ばっかりでる私。
ほんとは学校行きたくないんだよねー…
私は今日から三年生。
でも今までの二年間、いいことは一つもなかった。
「……」
ふと思い出してみた。
一年生の時のイジメ、二年生になっても1人でお父さんとお母さんが旅行で亡くなったこと。
思い出しても思い出しても、いい思い出なんか1個もなかった。
「はぁ…でも頑張らなくちゃ」
毎日私が通る道は海沿いで、とても景色がいい。
そして人通りが少ない。
私はこの道が大好きだ。
「やっぱり…いつも綺麗だね、海は」
私は海が大好きで、毎日眺めてる。
家からも見えるから。
何も考えなくてすむから…
「って、遅刻しちゃう!!」
私は急いでいつも行く道を走った。
毎日こんな感じだけどね。
また新しい一年が始まる。
また…
そう思った瞬間、私は学校の近くにある桜の木の下で足を止めてしまった。
「…なにやってんだろ私」
新しい季節が始まる。
桜がまた咲いた。
だけど…
「私の心は…新しい気持ちにならないもの…」
そんな感傷に浸っていた時だった。
彼らが…現れたのは。
< 1 / 98 >