俺ら参上ッッ!!

*ひかりside*



「これより、運動会を開催いたします――」


運動会が始まった。

確か一番最初玖白だったはず…!

私は美沙と急いで玖白の競技の場所へ行った。


「あ!あそこにいるよひかり!」

「ほんとだ!」


玖白は少し緊張気味だった。

頑張って玖白…!


パン!


スタートの合図が鳴った…のはいんだけど


「玖白くん走るのおそっ!」


た、確かに遅い…

恋一が言っていた通り、運動音痴だった。
その時、


「おーい!
そんな運動音痴のお前をみんなに見られていいのか!!会長よ!」

「恋一!」


恋一はいつのまにか私達の隣にいて、玖白に向かって挑発するような事を言った。


「そ、それは言い過ぎだよ恋一…」


私の言葉も聞かず、恋一は続けた。


「おせーぞ会長!
かっちょ悪ぃー!!」

「ちょ、恋一…!!」


いくらなんでもそれは!

そう思っていたら、いきなり玖白が足を止めた。
一緒に走っていた人達も止まって、わいわい騒いでいたみんながいきなりシンとなった。


「さっきから聞いてりゃ言いたいこと言いやがって恋一…」


ヤバい…玖白が怒る…!!


「俺は…」


……玖白…!


「俺は生徒会長だぁぁああああああああ!!!!!!!」


そう叫んで一気に走り出した。
一緒に走っていた人達も走り出した。

く、玖白…速い!?

さっきと違ってすごく玖白の足が速くなって、1位の人を追い越した。


「それでこそ玖白だー!!
1位キープしろよー!!」


恋一、わかってて言ってたんだ…安心した。

玖白は一気にパンを加えてゴールした。
女子達の歓声がすごかった。


「キャーーー会長!」

「会長カッコいい!!!!」


あの声はどっから出てくるんだか…
美沙と耳を塞ぎながら玖白のところへ行った。


「おめでとう玖白!」

「おめでとう玖白くん!」

「おう、ありがとう」


玖白はすごく汗をかいていた。

頑張ってたもんね…!!


「おめー玖白!」

「おい恋一てめぇ…」


恋一が玖白に近寄った瞬間、玖白は恋一の胸ぐらを掴んだ。


「や、やめなよ玖白!」

「オレ、お前に手助けしただけだぜ?」


恋一は笑いながら言った。


「ったく…恋一は。
いいよ、感謝してる」


玖白は恋一から手を離した。

よ、良かった…ケンカにならなくて。


「おう!
…オレの騎馬戦も出る?」

「冗談じゃねぇ!
もう運動するかっての!」

「あはははは!!」


二人は仲良さそうに行ってしまった。

それにしても、あそこまで玖白が冷静じゃないの初めて見たなぁ…!


「玖白くん、カッコ良かったよね!」

「うん!」


私と美沙は次の種目に移った。


「次美沙の出番だったね!」

「あ、そうだった!
準備してくるね!
絶対ひかりのために1位取るんだから!」

「うん!」


頑張ってね美沙…!!

私は心の底から美沙を応援した。






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