俺ら参上ッッ!!

*美沙side*



「ふぅ…」


本番まであともう少し。
ワタシは久しぶりにすごく緊張していた。
だけど…


「美沙ー!!
がんばれー!!」

「美沙!ぜってー1位な!」

「自信持っていけ!」


ひかり…恋一…玖白…

3人はワタシに名前を呼び捨てで呼んでもいいと言ってくれた上に、仲良くしてくれる。
ほんとの友達がいなかったワタシにとって…ほんとに嬉しかった。


「絶対1位取るからねー!!」


そう言ってワタシは手を振った。

よし、頑張ろう!


「一について!」


始まる!
その瞬間


「あんたを1位にはさせないから」

「!!?」


なんで隣に…!!


パン!


リレーが始まった。
ワタシはアンカー。

なんで縁切ったやつが…対抗リレーにいるの…!!

気づいたら、リレーに出ている全員があの時話をした人だった。


「邪魔しないでよ!」

「邪魔しないわけないじゃん」


ニヤッと笑って、そいつは走り出した。

そしてワタシの番に近づいた時…


「ほらよ!」

「きゃっ!!」


バトン渡しの時、思いっきり突き飛ばされた。


「い…た…」

「ざまぁ」


それだけ言ってそいつは去っていった。

もうみんな走り出しちゃった…ワタシ…1位無理じゃない…

涙目になった時、


「美沙!大丈夫!?」

「おい美沙!立てるか!?」

「あの野郎!ただじゃすまさねーかんな!」


み、みんな…

ワタシは溜めていた涙がぼろぼろ出た。


「美沙、肩貸すよ。
私達と一緒にゴールしよ?」

「それいいな」

「おう!そーしよーぜ!」


そう言って、ワタシはひかりの肩を借りながら足を引きずってなんとかゴールテープをきった。


「やったね美沙!」

「な…んで…助けにきてくれたの…??
ワタシ1位じゃないよ…??」

「ビリだからって何?
ゴールしたことに意味があるんだから!」


ひかりは微笑んでそう言ってくれた。

ひかり…もう…泣かせないで…


「俺参上ッッ!!
おいお前ら!
美沙の頑張りに拍手!!」


玖白は壇上のマイクに向かってそう叫んだ。
みんなからワタシは拍手をもらった。


「オレら参上だっつの!
1位のヤツには悪ぃけど、一番頑張った美沙がほんとの1位な!!」


恋一までむちゃくちゃな事を言った。
しかも全校生徒の前で。


「ほんと…もう…」


さらに涙が止まらなくなった。


「私も行く!」

「え!?」


ひかりも壇上へと走った。

ひ、ひかり!?

ひかりは三つ編みをほどいて、眼鏡を外して言った。


「美沙は頑張った!
だから1位にしてあげて!
お願いします!」


3人で深々と頭をさげた。
そして…


「よしお前らいいか!
美沙を1位にしてくれるか?」

「「「「いいともー!!」」」」

「ふははっ、全校生徒になに言わせてんだよ玖白はっ!」

「いいだろ?」

「最高玖白っ!」


3人は壇上で仲良さそうに大笑いしていた。
気づけばワタシは涙から笑顔に変わっていた。

ほんとワタシ…あんた達が大好きだ。
あの3人の中に入りたい!

心底そう思った。






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