俺ら参上ｯｯ!!

｢って…｣


この人達……


｢ひ、柊くんと宮内くん!?｣

｢へー、俺のこと知ってるんだな｣

｢オレも知られちゃってるー！｣


知らない人なんていない…


彼らの名前は、柊 玖白(ひいらぎ くしろ)と宮内 恋一(くない こういち)。
私と同じ三年生。
二年間二人で学校のいろんな問題を解決してきた人達。
そして今年から…生徒会長と副生徒会長になる人だもの。


｢なななな、なんでここにいるんですかっ!?｣

｢なんで…っと言われてもな…｣

｢さーぼりっ♪｣


さ、サボり!!?

私が憧れていて、どうしても遠かった存在の二人が目の前にいる。
それだけで心が高ぶった。


｢サボりはよくないと思います…
いくら不良で有名なお二方でも、今日は…｣


二人は不良でも有名。
だけど女子からモテモテだし、男子と先生からの人望も厚い人達。


｢いやー、一年生でこれから入学式だっていうのにサボってるキミのが悪い子だろー｣


宮内くんは私にそう言った。


｢新しい一年生にも俺らは有名なのか…困ったな｣

｢てか玖白ー、生徒会長の言葉いいのか？｣

｢あー、そうだったな…｣


やっぱりダメじゃん!!

ってか、さっきから聞いてれば…


｢早く行けよ、一年｣

｢今ならまだ間に合うぜー!!｣


さっきから…


｢あの!!
私今年から三年生だから!!｣


あ、ヤバ…
つい強く言っちゃった。

よっぽど私が大声で言ったのに驚いたのか、二人は固まっていた。


｢ぷはっ、さっきまで辛気くさい顔してたやつがいきなりビックリしたわ！｣

｢お前、そういう顔もできるんじゃないか｣


あ…私…

気づいたら私は顔を上げていた。
前を見て…しゃべってた。


｢悪い悪い、ちょっとからかいすぎたな｣

｢ゴメンな！
お前の顔あげるために嘘ついてた！｣


…やっぱりこの人達はすごい。
やっぱり…憧れだ。


｢ありがとうございます！｣


私はとびっきりの笑顔を二人に見せた。


｢ッ////｣

｢やっべー反則…//｣

｢……??｣


なんでか二人は顔を赤くしていた。

ん？いきなりどうしたんだろう…


｢おいひかり！｣

｢!!?｣


私の名前知ってる!?


｢早く行くぞ、入学式に遅れる｣

｢う、うん…！｣


二人に挟まれて、私達は３人で校門をくぐった。

こんなの初めて…！


｢そいじゃあ、オレ達こっちだから!!｣

｢気をつけて行けよ｣


学校の中での分かれ道。
二人は急いで体育館に向かった。
そんな二人に私は叫んだ。


｢なんで私の名前知ってたんですかーーーー!!!!!!｣


お腹から久しぶりに声が出た。

二人は私にこう返した。


｢｢全校生徒の名前知ってるのは当たり前だからーーーー!!!!｣｣


そう言って、手をふって体育館へ走って行った。

やっぱりすごいや…柊くんと宮内くんは



今年初めて、私はいい一年になるといいなって思えた。