俺ら参上ｯｯ!!

――……


｢うっ…うっ…｣

｢……｣


静かな場所に二人でいても、一向に美沙は泣き止まない。

いつも以上だな…

美沙はいつも俺に雅哉さんのことで相談してくる。
…のはいんだけど、いつも泣く。
今日は特別泣いていた。


｢おい美沙…泣いてちゃわかんねぇよ
何があった？｣

｢……あ、あのね…うっ
雅哉さんに…ふ、フラれたっ…｣

｢……そうか｣


雅哉さんは俺のイメージだと、いろんな女に手出す感じ。
後年上好きな感じがする。
あ、年上好きだって言ってたっけな…


｢雅哉さん、きっとお前のこと妹としか見れねぇんだろうよ…｣

｢うん…知ってるよ…｣


すごく悲しそうな顔をしていた。

なんだろうな…
無性に守ってやりたい。

気づけば俺は美沙を抱きしめていた。


｢く、玖白…!?｣

｢ちょっと黙ってろ｣


美沙は大人しく俺の腕の中におさまっていた。

もしかして俺…
ひかりをキッパリ諦められたの、美沙を気になってたからか…??


｢なぁ美沙｣

｢な、なに…??｣

｢お前、今はフラれて傷ついて辛いだろうけど…｣


俺は抱きしめる力を強くした。
気持ちが伝わるように。


｢その辛さと傷、俺が癒してやるよ｣

｢え…??｣


泣き目で美沙は見上げて俺を見た。


｢俺じゃ…ダメか？｣

｢……玖白、ひかりが好きなんじゃないの？｣


気づかれてたのか！
でも今は…


｢好き“だった”だ。
今はお前を守りたい…それだけだ｣

｢……｣


美沙は少し顔を赤くした。

かわいいな…こいつ。


｢ワタシ…玖白を雅哉さんを忘れるために利用したくない…｣

｢…利用していんだ｣

｢へっ!?｣


美沙はすごく驚いた顔をした。


｢お前を守るって決めた。
利用ぐらいどうってことない｣

｢でも…！｣

｢それに…俺もお前を利用してるのかもな…｣


ひかりを忘れるために。
でも…
俺はこいつを…美沙を好きになれそうだ。


｢だけど…今はお前しか見えない｣

｢玖…白…｣

｢だから…俺にしとけ｣


相変わらずキザだと自分でも思う。
だけど本心だ。


｢…検討してみる｣


美沙からは涙が消えて、笑みに変わっていた。
俺もつられて笑った。

俺は美沙を好きになって、美沙を守る…
まだ付き合ってはないけどな。
あくまでも“まだ”だ。
絶対、お前を手に入れてみせるよ。

だけど…
ひかりからもらったネックレスは許してな。