俺ら参上ッッ!!
泣き崩れた私の目の前に、学校にいるはずもない赤髪の人、聖くんがいた。
「聖…くん…」
「あ、俺の名前覚えててくれたんだ、嬉しいな」
にっこり笑う聖くんに、私は少し苛立ちを覚えた。
「莉子ちゃん…は…?」
「莉子は…保健室」
保健室と聞いた瞬間、やっぱりそうかと思った。
私の心で何かが壊れる音がした。
「ひかりちゃん、帰るの?
俺送って行こうか?」
「……んで…」
「え?」
「なんでそんなに優しくするの…??」
聖くんが笑っていられる意味がわからなかった。
そんな聖くんに腹が立っている自分も嫌。
「なんでって…
泣き崩れてるから可哀想で…」
「可哀想…?」
私の中で何かが切れた。
「可哀想ってなに!?
恋一を受け止められなかった私が惨めだから!?
逃げたから!?
莉子ちゃんに同情したから!?」
「ひかり…ちゃん…」
何がなんだかわからなくなっていた。
きっと今の私は、怒っているのか悲しいのかどっちかわからない顔をしているだろう。
「なんなの…
私はただ……っ!?」
「!?」
感情的になったせいか、いきなりうまく呼吸ができなくなった。
「うっ…あ…」
「ひかりちゃん!?」
呼吸が整わない。
息ができない…!
私、死ぬのかな…??
私はゆっくり目を瞑った。
「ひかりちゃん!?
…ごめん」
何かが私の口に当たる。
柔らかい感触。
そこから空気が入ってきた。
「はぁ…はぁ…」
「ひかりちゃん…!」
再び柔らかい感触と入ってくる空気。
何が起きてるかなんて考えてる暇じゃなかった。
「……ふぅ」
「良かった…」
やっと息が整った。
それと同時に意識を失った。
意識を失うほんの少し前、恋一の声が聞こえた気がした。