俺ら参上ッッ!!
「今…なんて言った?
聖…だと」
「泣いてるひかりちゃんを聖が慰めてあげてるとこだと思うよぉ?
聖に取られちゃうかもね♪」
にっこり笑う莉子。
全部莉子が仕掛けたんか…!!
オレは勢いよく保健室を飛び出した。
「恋一!」
莉子のオレを呼ぶ声なんて届かなかった。
ひかり…!!
必死に走ってひかりを探す。
「ハァ…ハァ…
ひかり、どこだよ…」
屋上に来てみてもいない。
もう帰ったのかもしんねー…!
急いで階段を降りて玄関へ向かった。
「ひかり…待っててくれ!」
そんな気持ちを込めながら玄関に来た時だった。
オレは思わず目を疑った。
「ひかりちゃん…!」
「はぁ…はぁ…」
な…んで…
さっきまで動いていた足がいきなり動かなくなった。
鉛のように重い。
「ひかりちゃん…」
聖はひかりにキスしていた。
ひかりの様子が明らかに違った気がしたけど、それどころじゃなかった。
ひかりはオレに愛想つかして…キライになったんだな…
呆然と立ち尽くしていたら、聖がオレに気づいた。
「あ…恋一」
「……っ」
声が喉につっかえて何も出てこない。
「恋一ごめん…
俺…」
「何が…ゴメンだよ」
やっと出てきた言葉はとても弱々しくて、自分でも情けないくらいだ。
「お前オレの大切なひかりに何してんだよ!!」
おもいっきり聖を殴った。
「…っ」
「ハァ…ハァ…
ひかりっ…!!」
ひかりは苦しそうな顔で目を瞑っていた。
気ぃ失ってんのか!?
「ひかり!
おいひかり!!」
何度呼んでもひかりは起きない。
オレはとっさにひかりを抱き抱えて学校を出ようとした。
「おい恋一!!」
その時聖に呼び止められた。
「…なんだよ」
「今回は本気なんだ」
本気…??
「俺、本気でひかりちゃんが好きなんだ。
莉子に頼まれて奪ってほしいって言われたからひかりちゃんに近づいたけど、そんなの関係なく俺はひかりちゃんが好きだ」
「……」
今まで聖から聞いたことがない言葉だった。
前のオレならすぐに「奪ってみろよ!ひかりはぜってー心揺れねーから!」と自信満々に笑えたはずだ。
でも今は…何も言えなかった。
「だから本気でひかりちゃんを奪いに行くよ、俺は」
「……」
オレは学校を出た。
向かう先はひかりの家。
雅哉さんも秋斗さんも龍進さんもそういえばいない。
「あ…鍵ねーじゃん…」
足を止めて考える。
ひかりは相変わらず気を失っている。
オレは決心した。
ある場所へと向かう。
ガチャ
「姉さん!」
――
「聖、恋一帰ったの?」
「あぁ…」
「…今までごめんね、聖」
「え…??」
「もう自由な恋をして…
あたし1人で頑張るから…!」
「莉子……うん」