俺ら参上ッッ!!
「オレが確かにうやむやにしたのは謝る!
だけど…オレはひかりが好きなんだって…」
「……」
うつむく恋一の顔はきっと悲しい顔をしているはずだ。
私は胸がズキズキ痛んだ。
「オレはひかりが好きだ…
ひかりしか見えないんだよ…
だから…別れようなんて言わないでくれ…」
恋一の目から涙が溢れる。
恋一を傷つけているのは私。
涙を流させているのも私だ。
でも…離れようと決めたのは変えられない。
ほんとは私だって恋一と一緒にいたい…
だけど、言っちゃいけないんだ。
「ごめんなさい…
私、恋一のこと嫌いになっちゃったから…」
「っ!?」
思ってもいない言葉を言ってしまった。
ひどく傷ついたような恋一の顔が目に焼き付く。
「……そっ、か…」
掴んでいた私の腕を離す。
その場にいられなくなって、私はおもいっきり部屋を出た。
そして玄関に行った時、
「あれ…帰るの?」
さっきの写真の中にいた人…恋一のいとこのお姉さんが立っていた。
「お騒がせしてすみません…」
私はペコッとお辞儀した。
「それはいんだけど…
目腫れてるじゃない!
何か恋一がした?」
「い、いいや…!」
逆に…
「何かしたのは…私ですから」
それだけ言って、お姉さんの家を出た。
出た瞬間に、さっきより涙が溢れる。
「私…!
恋一が好きなのに…!!」
自分でもどうかしてると思う。
自分の気持ちを優先しないし、恋一の言葉も聞かない。
バカだ、私。
その時、今一番会いたくない人が私の前に立っていた。
「あれ、ひかりちゃん
なんでここにいるの?」
莉子ちゃんだった。
不思議そうな顔で私を見ていた。
手には恋一の荷物。
きっと学校に忘れていった荷物を届けに来たんだろう。
「あ、なんでもないんだ…!
恋一のことよろしくね…」
「え?ちょっと!」
私は1人になりたくて走り出した。
「はぁ…はぁ…」
行き着いた先なんてわからないけど、どこかの公園に来ていた。
「う、うわぁぁあああああ!!」
おもいっきり泣いた。
恋一…恋一!!
私が別れを切り出したくせに、どうしても胸が痛い。
でもどうしようもなかった。
離れた方がいいと思ったのは私だから。
「うっ…ひっく…」
それから何時間泣いたかわからない。
気づいたら夜になっていた。
「ひかりちゃん…
大丈夫か…??」
「え…」
私の隣にしゃがみこんでいたのは聖くんだった。
なんでここにいるの…
夜だからあまりわからないけど、聖くんの額にはうっすら汗があった。
息も少しあがっている。
「探したよ、ひかりちゃん」
なんで…
きっと聖くんは走って私を探してくれたはず。
手には私の荷物もある。
なんでそこまでしてくれるかがわからなかった。