俺ら参上ッッ!!
「ただいま…」
「おかえ……ちょっと恋一!
びしょ濡れじゃない!!
傘持って行かなかったの!?」
「ん…わりぃ」
やっとの思いで家に帰ると、姉さんが少し驚きながら迎えてくれた。
やべー…少し頭クラクラすんな…
よろよろと歩いて脱衣場へ向かう。
服を脱いでいたら、姉さんが着替えを持ってきてくれた。
「着替え…ここ置いとくから」
「なぁ、姉さん…」
呼び止めると、無言で振り替える姉さん。
「好きでも…好きでいちゃいけない状況になったら…姉さんならどうする?」
「恋一あんた…」
心配そうな目でオレを見る。
「あんた…何かあったの…?」
「…くっ…うっ…」
姉さんの言葉で思わず涙が出た。
子供みたいに泣くオレに、姉さんは何も言わないで側にいてくれた。
部屋に入ってベットに寝転がる。
思い出すのはさっきの出来事。
「ひかり…」
いくらひかりへの思いが募ったって、それを伝えられるわけでもなく、伝えちゃいけない。
何度も寝返りをうってはひかりのことを考えた。
「恋一…入ってもいい?」
その時、姉さんがオレの部屋に来てくれた。
「いいよ…」
ゆっくり部屋に入る姉さん。
ホットコーヒーを持ってきてくれた。
「あったけー…」
ホットコーヒーはすごく胸に染みた。
自然と目に涙が溜まる。
「恋一…それで、何があったのよ…」
自分のことのようにオレのことを考えてくれる姉さんが、すごく好きだ。
ひかりもそうだ。
「オレ…好きなヤツがいるんだ」
「莉子?」
「違う」
オレがそう言ったら、姉さんはやっぱりねと言った。
「あんた…あの子が頭から離れないんでしょ?」
「っ!!」
姉さんに見透かされていた。
「なんでわかったんだ…??」
「だって、あんなに恋一が女の子に表情柔らかくしたの初めてだもの」
「……」
姉さんはオレの恋愛事情はすべて知っている。
もちろん、女を一回も本気で好きになったことがないのも、ヒモみたいな生活送ってたのも全部。
「オレ、ひかりと別れたんだ。
つか、別れてって言われたんだ…」
「なんでよ…??」
「恋一なら莉子ちゃんのこと幸せにできるよって言われた…」
はぁと姉さんはため息をつく。
そして真剣な目でオレに言った。
「それは確かにあんたが悪い。
なんで弁解しないのよ?」
「それは…
ひかりがそう望んだんだ。
だからひかりの期待に応えようと思って…」
「ばか!!」
「いって!」
おもいっきり頭を殴られた。
しかもグーで。
姉さん相変わらず容赦ねーんだから…
「あんたあの子の気持ちなんもわかってないのね…」
「なんだよ…気持ちって…」
「鈍感アホ野郎には教えませんっ!!」
わけわかんねー…
姉さんはそれだけ言って部屋を出て行った。
気持ちってなんだ…
オレ…間違ってんのか?