俺ら参上ッッ!!


-学校の玄関-


急いで学校に着いたら、一時間目の授業始まりのチャイムがちょうど鳴った。

あー間に合わなかったか…
しゃーねーか。

諦めてゆっくり靴を履き替えていたら、携帯の着信音が鳴り始めた。


ピリリリ


「誰だ…??」


確認してみると、電話をかけてきた相手は玖白だった。

く、玖白!?

オレは急いで電話にでた。


「もしもし!?」

[ん…?
何慌ててるんだ恋一]

「いや、久しぶりに電話くれたから嬉しくてよ…!」


電話越しでもわかる、玖白の驚いた声と顔。


[あ、あぁ…
今お前どこだ?]

「今学校の玄関!」

[学校にいたのか!?
朝来てなかったから、お前の家に今行こうと思ってたとこだ]


玖白が…オレの家に?


[まぁ学校に来てるなら話は早い。
生徒会室に来い、今すぐにだ]

「お、おう!
わかった!」


電話を切って、急いで生徒会室へと向かった。

玖白、オレに話でもあんのかな…






-生徒会室-


「玖白!」


バンと扉を開けたら、いつも通り生徒会長のイスに座っていた。


「30秒…
ちょっと遅くなったな、足」

「あーわり、今日ちょっと体調優れなくてよ」


頭痛がひどくなる。
だけど今普通に話をしていることが嬉しかったから、頭痛なんてどうでも良かった。


「まぁ座れ」

「おう」


生徒会長のイスの隣にある、副生徒会長の席に座る。
なんだか懐かしい。


「恋一、やっと戻ったんだな」

「え?」


オレがイスに座った瞬間、玖白は意味不明なことを言った。


「どーゆーことだ…??」

「お前、ここ1ヶ月性格が違ったからな。
まぁ正確に言えば変えてた…だよな」

「……」


玖白の言う通りなのかもしれない。
一番ひかりの傷つく顔を見たくないオレが、一番傷つくような言葉を言ったんだ。


「お前…やっと気持ち決めたのか?」

「……あぁ」


玖白にはすべてお見通しってワケか…
さすが相棒だよ。


「それで?
どうするつもりなんだ。
今お前はひかりからも、美沙や雅哉さんからも信用ないぞ」

「ん…そーだな」

「それだけじゃない。
全校生徒まで敵に回した」


確かに…毎日みんなからの視線が冷たかったな。
話しかけてくるヤツもいなかった。


「示しをつけなくちゃならない。
そうだろ?恋一」

「あぁ…そーだよな
オレは副会長だ」


でもどーしたらいんだ…


「オレがお前に、最高のステージを作ってやるよ」

「え…?」


玖白は自信満々に笑った。
その笑顔も久しぶりに見た。


「なんでそこまでしてくれるんだよ…玖白」

「は?」


キョトンとした顔をする玖白。

あれ、オレなんか変なこと言ったか!?


「何言ってんだお前は」

「いって!」


おもいっきり玖白に背中を叩かれた。

玖白も容赦ねーな!!


「お前は俺の親友であり、相棒だろう?
当たり前のことをするまでだ」

「玖白…」


こんなオレにそんなこと言ってくれるのか…

少し涙が溜まった。


「俺はわざとお前に冷たくしてたんだ。
気持ちを気づかせるためにな。
なのに1ヶ月もかかった…恋一のせいだぞ」

「なんでオレのせいになんだよー!!」


二人で笑い合う。
こんなことするのも久しぶりだ。

オレは今の今まで何をしてたんだ。
こんなに大切な仲間が側にいるってのに、オレは…


「愛してるぜ、玖白」

「……気持ち悪い」

「ひでぇ!」


バカ話も久しぶりで、改めていい相棒だっていうことを認識した。


「それでだ、恋一」

「んー?」


玖白はコーヒーを淹れながら話始めた。


「文化祭今月にあるだろう?」

「あ、そういえばそーだったな!」

「お前副会長のくせに忘れるなよ…」


ジト目でオレを見る玖白。
苦笑いで誤魔化した。


「今年は俺達も卒業だ。
だから、大きなイベントを俺が企画したんだ」

「お、待ってました!」


1人で玖白に拍手を贈る。
玖白は少し得意気な顔をした。

毎年生徒会では、会長と副会長が文化祭の一大イベントを考える。
今年はオレ達がその立場だ。


「んで?
なんなんだよ、企画!」


オレは文化祭が一番好きな学校でのイベントだ。
だからすごくワクワクした。


「今年は、ウェディングイベントをやる」

「……は!?」


オレは一瞬耳を疑った。








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