俺ら参上ッッ!!
*聖side*
「聖?」
「……」
ひかりちゃん…すげぇかわいいな…
莉子のクラスを手伝いながら窓の外を見ていたら、ひかりちゃんのメイド姿が見えた。
「聖ってば!!」
「うおっ!?」
誰かに呼ばれてはっと我に帰ったら、莉子が怒った様子で俺を見ていた。
「さっきから何ボーッとしてるのよっ」
「あ、ごめんごめん」
少し笑いながら謝ると、莉子がはぁとため息をついて呆れた顔をした。
「まったく聖は…
どうせひかりちゃんにうつつを抜かしてたんでしょ?」
「うっ」
図星だ…
莉子意外と鋭いな…
「まぁいいや。
これ図書室から取ってきてだって」
「ん?」
莉子に1つの紙を渡される。
紙には“ケーキのレシピ本何冊か!”と書いてあった。
「なにこのザックリしたやつは…」
「まぁ、しかたないよ!
行ってきて?」
「わかった」
ザックリした内容が書かれている紙を手にして、教室を出た。
-図書室-
図書室に着いて、中に入る。
「あれ…誰もいないのか?」
見渡しても誰もいない。
だけど電気はついていた。
「電気ついてるなら誰かいるはずなんだけどな…
まぁ、いいか」
俺はレシピ本が並ぶ棚へ向かった。
「いっぱいありすぎる…」
ずらりと並ぶケーキのレシピ本。
似たような内容が多くて、どれを持って行けばいいかわからない。
「あー…
めんどくせぇなぁ…」
そう言いながらも、本を手に取ってパラパラとページを捲っていたら、図書室の奥から物音がした。
なんだ…
ページを捲るのをやめてじっとしていると、足音が聞こえる。
「誰だ」
「っ!!」
声を出すと、俺の前に1人の女の子が現れた。
嘘…だろ…
「ひ、聖くん?」
「ひかり…ちゃん」
ひかりちゃんだった。
あまりにも突然で、心臓が止まるかと思った。
「なんでここにいるの…」
「あ、今日私図書室の掃除当番だったから」
確かにひかりちゃんはホウキを持っていた。
そういうことか…
「脅かすな…」
「あはは、ごめんね」
「いや、いいけど」
俺は気を取り直して本を探す。
そしたら、ひかりちゃんが俺の側に寄ってきた。
「聖くん、お菓子作りに興味あるの?」
「ばかっ…!!
違う!」
そりゃあ確かに、こんなにケーキ作りの本持ってれば勘違いされるか…
「へー意外だなぁ!」
「だから違うって!」
目をキラキラさせながら、俺が持っているケーキ作りの本を見るひかりちゃん。
いつになくかわいくて、ドキドキしてしまった。
「なぁひかりちゃん…」
「ん?」
「近い…んだけど」
「へ!?」
顔と顔の距離が30㎝くらいで俺はひかりちゃんに忠告した。
「ごめんなさいっ!」
ひかりちゃんが離れようとした時、つい手が動いた。
「聖くん?」
気づいたらひかりちゃんの手を掴んでいた。
離れろと自分から言ったようなものなのに、なんだか離したくなかった。
「…ねぇ、ひかりちゃん」
「は、はい…」
緊迫したような空気が流れる。
「…恋一のこと…好き?」
「へ?」
ひかりちゃんはポカンとした表情をする。
そりゃそうだよな…
いきなり変なこと聞かれてんだから。