俺ら参上ッッ!!


「はぁ…重い…」


職員室に呼び出されたと思ったら、大量のいらなくなったプリントを印刷室に持っていけと担任の先生に言われた。


「なんで私かなぁ…もう」


不満がありつつも、私は急いで印刷室に向かった。

うー、それにしても重い…


「それに前が見えな…きゃっ!?」


どんっ


誰かとぶつかってしまった。


「いたたたた…」


プリントは廊下中に散らばった。


「ご、ごめんなさい!」


頭を下げて謝った時だった。
まさか…ここで会うなんて。


「うみ…の?」

「くじょ…くん」


目の前には、私の中学から大好きな人がいた。
高校に入ってからも、あんな事件があっても…
ずっとずっと好きだった人が目の前にいた。


「お前…この学校だったのか?」

「う、うん…一応…」


やっぱりわかってなかったんだ…同じ学年でも。



あれは中学の出来事だった――











「なぁなぁ亮ー」

「んー??」


彼の名前は九条 亮(くじょう りょう)。
私が中学2年の時から好きだった人。
おんなじクラスで、イジメられていた私をいつも助けてくれる優しい人。
そしてその時から私達はいつも一緒だった。

ある日私が教室に忘れ物をして戻った時だった。
九条くんと九条くんの友達が、まだ教室に残っていた。


「お前、いつもいる海野のこと好きなのかー??」

「なっ…!」


九条くんの友達は冷やかすように質問していた。

九条くん…


「まぁ、ありえねーよな!
亮があんなブス好きになるわけないもんな!」

「……」


九条くん…なんで何も言ってくれないの

私は心がチクチクと痛んだ。


「おーい亮、聞いてっか?」


九条くん…!

九条くんが顔を上げて言った一言が終わりだった。


「…あ、当たり前じゃん!
あんなやつ全然好きじゃねぇよ!」


な…


「だーよなぁ!」

「おう!
あんなブス、好きになるわけないだろ?」


そう…思ってたんだね…


「あいつのそばにいれば、俺いいやつだって思われてモテんだろ?
それだけだよ!」


ズキッ


そう…だったんだ…
……最低。










――あれから3年
私はあぁ言われた時から1回も九条くんと話してない。
だけど…離れたらやっぱり好きだって思って、3年も片思い。

まぁ、いんだけどね…

内心、久しぶりに話せて…
こんな近くに九条くんを久しぶりに見て…嬉しかった。
私は九条くんのためにこの高校に入ったも同然だから。



< 9 / 98 >

この作品をシェア

pagetop