俺ら参上ッッ!!
-第ニ校舎 一階-
ここにもいない…
ウェディングイベントのルールには、学校を出なければどこに行ってもいいというルールもある。
だけど範囲が広すぎて逆に探しずらい。
「恋一…!」
少し休憩してまた走り出したら、第ニ関門が待っていた。
「うぉぉぉおお!!
ひかりせんぱぁぁああああい!!!!」
「俺にネクタイを!!」
「いや、僕に!!」
私の方へ10人以上の男の子が向かってきた。
ひゃあああ!!
逃げなきゃ!!
また走り出そうとしたら、おもいっきり転んでしまった。
「しまった…!」
もう…ダメなの…?
そう思った瞬間。
「チッ、ひかりを狙いに来やがったな」
「ひかりはモテますからね。
予想はしてましたから」
私の前に雅哉と玖白が立っていた。
「雅哉…玖白…!」
「ひかりの邪魔はさせない」
「オレはひかりを守るヒーローだ!
何があっても通さねーからな!」
私を恋一のところへ行かせるために…
ありがとう…
「二人とも!
無理はしないで!」
「おーう!
気をつけろよ!」
「ひかり、恋一なら第一校舎の屋上に隠れてる」
「わかった!!
ありがとう!」
玖白に情報をもらって、二人のことが気になりつつも私は第一校舎の屋上へ向かった。
「はぁ…はぁ…」
私は必死で第一校舎へと向かう。
こ、こんなに距離あったっけ…
いつも以上に遠く感じる第一校舎へ行くための渡り廊下までの道。
「恋一…屋上にいてね…!!」
そんな願いを込めながら、私はひたすら走った。
あ、やっと渡り廊下だ!
やっとの思いで渡り廊下まで走って来たけど、渡り廊下の真ん中で仁王立ちしている人がいた。
「莉子ちゃん…」
「やっと来たわね。
待ってたわ」
真剣な瞳で私を見る莉子ちゃん。
莉子ちゃんは参加できないんじゃ…
あ、邪魔はできるんだから、邪魔しに来たのかも…!
さっと身構えた。
「そんなに身構えないで。
あたしはただひかりちゃんと話したいだけだから」
「え…??」
「もう邪魔したりしない」
そう言ってゆっくり近づいてくる莉子ちゃん。
少し怖かったけど、逃げちゃいけないと思った。
「…ひかりちゃん」
「はい…」
「…恋一のこと、ほんとに好きなの?」
思いもよらない言葉だった。
私はびっくりして何も言えなくなった。
「ひかりちゃん恋一のことなんも知らないのに、ずけずけ恋一にくっついて…
見ててムカつくの」
冷たく言い放った。
莉子ちゃんの視線に身体が凍りついたようだった。
「恋一の良さが何もわからないくせに、恋一に近づかないでよ!」
さっきから…
確かにまだまだ恋一の知らないところいっぱいあるけど…
「過去は詳しく知らないよ、確かに。
だけど…莉子ちゃんだって恋一のこと何も知らないでしょ?」
「っ!」
莉子ちゃんは一歩引いて、私を睨む。
さっきまで怖かったけど、負けたくないと思ったら背筋がピンとなった。
「知ってるわよ!」
「何を知ってるの?」
「それ…は…」
莉子ちゃんは私から目を反らした。
ちゃんと見てないんだ…恋一のこと。
「恋一は優しいけど、少し考えないですぐ行動に出ることもある…
けどね、素直で真っ直ぐで迷いがなくて、私のことをすごく大切にしてくれて…」
今までの恋一を思い出しながら私は話しを続ける。
「これ以上ないくらい愛をくれる、私の大切な人」
「……」
「いろいろあったけど、でも!
私達の絆は固いから絶対邪魔させない!!」
きっぱり言った。
ここまで言えるようになったのだって、恋一のおかげ。
ううん、玖白や美沙のおかげでもある。
「だから今胸張って言えることは…
私は恋一のことが大好きですってこと!!」
「そんなの…認めない」
うつむいて静かに莉子ちゃんは言った。