俺ら参上ッッ!!
「私は絶対に認めないから!!」
「っ!」
莉子ちゃんが手をあげた。
な、殴られるっ…!!
ギュッと目を瞑った時。
痛みは感じず、大好きな匂いだけが私を包んだ。
「…ひかり」
「こう…いち…」
私の大好きな匂い。
大好きな人。
恋一が私を抱きしめていた。
「…すっげードキドキしてる。
お前のさっきの言葉、一生忘れねーから…」
「聞いてたの…!?」
「まーな」
恋一は少し笑った。
「聖!
はなしなさいっ!!」
「やめろ莉子!!」
恋一から身体を離して莉子ちゃんを見ると、聖くんに腕を掴まれていた。
「あの女、殴らないと気がすまない!」
「……莉子!!
いい加減やめろ!!」
「っ!?」
今まで聞いたことがないくらい、聖くんは大きい声で怒鳴った。
「もう…やめてくれ…」
「聖…」
莉子ちゃんは抵抗をやめた。
聖くんは一筋の涙を流した。
「もう…これ以上ひかりちゃんが傷つくのも…莉子が傷つくのも見たくない…」
とても弱い消えそうな声だった。
聖くん…
聖くんが莉子ちゃんを止めたんだ…
「聖ごめん…ごめんね…」
「いいんだ…」
「莉子」
聖くんに寄り添っている莉子ちゃんの前に、恋一は立った。
「今ここで言う。
オレはお前のこと好きじゃないし、ひかりしか見えない」
「……うん」
「今まで悪かった…
オレはお前のこと、これからも友達としてしか見れない」
莉子ちゃんは悲しい顔をしたあとに、一気に笑顔になった。
「ありがとう、きっぱり言ってくれて!
ひかりちゃん、さっきはごめんね」
「え?あ、うん…!」
素直に謝られて、少し戸惑ってしまった。
「つーことでひかり」
「へ?」
恋一はいきなり私のネクタイをほどいた。
「こ、恋一!?//
ここじゃダメだよっ!!//」
こんなとこで…!
しかも莉子ちゃんと聖くんの前で!?////
「あ?
何言ってんだひかり」
「へ?」
今度は恋一が自分のネクタイを取った。
そしてそのネクタイを私に結んだ。
「ほら、これで成立っと」
「あ、あ…
そっか!そうだよね!」
私勘違いしてた!//
恥ずかしい…//
「あー、もしかしてひかり…
なんかやらしーことでも考えたか?」
「ち、違います!!//」
「ははは!!」
もう…恋一のばかっ
「まったく…ほんと仲いいのね」
「そうだな」
こんな私達を二人は呆れたように見た。
だけど笑っていた。
「それだけラブラブなら、なんにも問題はないわね」
「一番素敵なカップル3組に絶対選ばれろよ」
二人はそう言って背を向けて歩く。
「お、おい聖!」
「ん?」
恋一が聖くんを呼ぶと、今までとは違う少し晴れたような顔で振り返った。
「お前…いいのか」
「何がだ?
俺には何のことかさっぱりわからない」
少し笑って今度こそ二人は歩いて行ってしまった。
「聖…わりぃな…
サンキュ」
二人の背中を消えるまで私達は見守った。
――
「聖、いいの?」
「莉子こそいいのか?」
「あたしは今度こそ吹っ切れた!
だけど聖はまだ…」
「俺もいんだ」
「え?」
「俺…ひかりちゃんを見守ってる。
ずっとな」
「そ…っか」
「ま、恋一が最低なことした瞬間奪うけど」
「あははっ、聖らしい!」
「だろ?
……俺達はまた、二人で歩いて行こう」
「うん…」