俺ら参上ッッ!!
-結婚式?-
オレはタキシードに着替えて、控え室にいた。
イスに座っていると、玖白が入ってきた。
「よう、恋一」
「お、おう…」
「なんだお前…緊張してるのか?」
「バカ!
ちげーよ!//」
ニヤニヤしながら言う玖白。
確かに緊張していた。
「ひかり、準備できたみたいだぞ」
「ほんとか!?」
きっとひかりのウェディングドレス姿…キレイなんだろーなぁ…
想像しただけで鼻血が出そうだった。
「……おい恋一、鼻血出てるぞ」
「へ?」
玖白にティッシュを渡されて鼻を押さえてみると、確かに血がついていた。
ま、マジで鼻血!?
「ははっ、恋一はスケベだな」
「うっせ!//
いいだろー、ひかりのこと想像したって」
自分でもさすがに鼻血が出るとまでは思ってなかった。
「なぁ…恋一」
「なんだよ?」
いきなり真剣な目になる玖白。
つられてオレも真剣な目になる。
「俺達…ここまで二人でやってこれたのはなんでだと思う?」
「あ?
そりゃあ愛だろ!」
「お前な…
男の俺が言われても嬉しくないんだが」
呆れた顔で玖白はため息をつく。
「俺達、最初喧嘩ばっかりしていたの…覚えてるか?」
「あぁ!
覚えてる覚えてる!!」
オレと玖白は中学の時に出会った。
玖白の第一印象は“クールでムカつくヤツ”だった。
出る言葉は全部冷たくて、誰も寄せ付けない空気を出していた。
「俺とお前はほんと意見が合わなかったな」
「そうだなー、懐かしい!」
その頃オレは頭がよくて、玖白も頭がよかった。
だからいつも1位を争ってケンカばかりしていた。
だけどある日…
「あん時のオレ、バカだったから、カンニングして1位取ったんだよなー」
「そうだ。
それに腹が立って、殴りあいになったな」
二人で笑う。
あの時の殴りあいで、オレ達の争いは無駄っていうことに二人で気づいた。
そして、
「「真面目なんてクソくらえだ!」」
揃って出た言葉がそれだ。
その瞬間から、オレと玖白は一気に距離が縮まった。
「懐かしいな…」
「あぁ、そーだな…」
二人で思い出に浸る。
懐かしい記憶はオレを笑顔にさせた。
「まぁ、あの頃から馬鹿だと思っていたが…
今は負けないくらいさらに馬鹿だ」
「はぁ!?
それは玖白もだろーが!」
「俺はお前みたいに、あんなまずいコーヒーなんて作らない」
すぐちょっとしたことで口論になる。
だけど、それも昔からで…オレは嫌いじゃない。
「恋一…前はよく俺ばかりに頼っていたけど、今は一人前になったよな」
「そ、そーか…??」
いきなり褒められてなんだかむず痒い。
「俺は昔からお前を見てきて…
今が一番輝いてると思うぞ」
それはオレ自身も思っていることだ。
多分、ひかりに出会ったからだ。
ひかりがいなかったら、ほんとの愛なんて知らないまま…
ただバカやって過ごしていたはずだ。
「改めて今言う。
お前は…これからもずっと、俺の一番の親友であり…相棒だ」
「玖白…」
柔らかく微笑む玖白は、今までの中で一番カッコよく見えた。
オレはいろんな人に支えられて歩いてる。
だから…今度はオレが支える番だろ!
席を立って、玖白と一緒にひかりのもとへ向かった。