あの日もアサガオが咲いていた。
「それ…」
「?」
そっと男の指が封筒をさす。
「朝顔の印…ってことは、君"ワンステ"に出るんだ?」
問い掛けられているような、それでいて確信のままに言い切っているような。
どちらともとれない男の言葉に、絢也は思わず顔をしかめた。
そして封筒に落としていた視線を再び男に向ける。
すると目の前に立つ男は先程よりも格段に嬉しそうな表情で絢也を見ていた。
いや、正確には絢也の手の中にある封筒を見ていた。
線のように細められた瞳と、ゆるりと緩んだ頬は男の心情をそのまま映し出している。
「ワンステ…?」
封筒に向いた男の目と聞き慣れないその言葉に問い返せば、男は"知らない?"と小さく首を捻った。
それに素直に頷く絢也。