あの日もアサガオが咲いていた。
その返事に納得したように頷くと、男は極自然な動作で絢也の隣に腰をおろす。さも当たり前のように。
絢也も特にそれを気に留めることもなく、少しだけ右に体をずらした。
男はコンビニ袋を自分の左側に置くとそのまま足の間で両手を組んだ。
腿に肘を置いたせいで少し前屈みになる体。
そして絢也を見上げるようにして話し始める。
「その制服、和泉原だろ?ワンステ知らないってことは…一年生?」
「中一、です」
そっかそっかと笑う男は、嬉しそうに口元を綻ばせて。
何故彼がそんな表情をするのか。理由のわからない絢也は訝しげに彼へと視線を向けた。
そんな視線をさらりと微笑みで受け流した男は、何事もなかったように口を開き言葉を続ける。