あの日もアサガオが咲いていた。
「これ!"ワンステ"の手紙!」
力強く突き出された手の中には、握られすぎてぐしゃりと形を崩した一枚の封筒。
それに微かに柚子の表情が変わった。
かつて一度だけ見たことがあるものに似ているそれ。
その真っ白な世界に少しだけ見えた朝顔の印が、柚子の考えを確かなものにする。
太陽の下に咲いたような赤の朝顔は、選出者への手紙。
それを認識した途端、彼女は大きな目を更に大きく見開いた。
その表情は陽太がそれを見つけたときと全く同じである。
「う、うそ…!」
「マジだって!さっき下駄箱の中で見つけたんだよ!」
瞬きすら忘れたようにじっと封筒を見つめる柚子。
そんな柚子の様子に陽太は興奮したまま鼻息荒く声を上げる。