あの日もアサガオが咲いていた。




机の上に広げたそれを覗き込めば、そこには確かに"ワンステの出演者に選ばれました"の文字。


その一行をじっと見つめ二人揃って息を呑む。

他のところなど目に入らない。ただその一行だけに釘付けである。


そして一拍置いた後、二人は同時に勢いよく顔を上げた。




「ーっやったよ!ゆず!」


「ーっやったね!よーちゃん!」




重なった声に一瞬恥ずかしそうに頬を染める陽太と柚子。


短い沈黙が流れるなか、先に動いたのは柚子の方で。

込み上げてくる涙を抑え両手で陽太の手のひらを握る。

そして潤んだ瞳で彼の姿を見つめた。


彼女の頬を赤く染めているのは、決して窓から射し込む夕日のせいだけではないだろう。




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