あの日もアサガオが咲いていた。
一度目は忘れもしない三年前のこと。
中等部に入学して初めての夏のことだった。
まだ、何も知らなかったあの日。
陽太の中にある思い出は、いつも笑顔に溢れている。
それは彼自身が楽しむことを好み、またその方法を知っているからだろう。
だが、あの夏だけは違った。
それはどんなことにでも楽しみを見出だすことの出来る陽太にとって、唯一の苦しい記憶。
消してしまいたいと願いながらも絶対に忘れられない夏の思い出。
─────足手まといなんだよ!
─────お前は俺たちの言うことだけ聞いてればいい!
─────お前のせいで負けたんだ!
あの夏の残像が、消えない。
今も決して目蓋の裏から、消え去ることはない。